御嶽山
- おんたけさん -
(2004年7月31日〜8月1日)

【1日目】田の原→王滝頂上→剣ヶ峰→旭館(山小屋)
【2日目】旭館→二の池→王滝頂上→奥の院→田の原


【東側から見た御嶽山】
江戸時代以降全国に広がった御嶽教の結果、「おんたけ」「みたけ」と称する山は無数にあり、例えば秩父には秩父御岳山(ちちぶみたけやま)という山がありますが、特に「御嶽」と表記した場合はこの木曽の御岳山を示すようです。

ちなみに宗教的には「御嶽」、登山情報では「御岳」と記される傾向があるようですが、手元の国土地理院の地図にははっきり「御嶽山」と表記されています。

深谷久弥の著した『日本百名山』には「60 御嶽」として紹介されていますが、どうも一般的には「御嶽山(おんたけさん)」として人口に膾炙しているように思われます。

ガイドブック等の分類では北アルプスの一峰とされているのを見かけますが、富士山と同じ独立峰です。

それは、一目この山の孤高に聳える姿を眺めた人なら、たちまち納得できることでしょう。

また、特徴的なこととして、山頂部に4つの峰と5つの山上湖を持ちながら、それらが巨大なひとつの頂上となっている不思議な山でもあります。

最高点・剣ヶ峰は標高3063mの高度を誇り、日本にわずか21座しかない3000m級の山の一角を占めています。


平成の今日もなお白装束の登拝者が目立ちますが、そのように真摯に山と向き合う人々の姿は、たいへん稀有な素晴らしい光景であると感じました。

実際、すれ違う登山者のマナーは概ね良く、入山者数の割にはゴミも少なく、山を大切にしている感じで好感が持てました。

「日本百名山」「御嶽教の聖地」と様々な意味で世に名高い木曽の御嶽山。

この日は、東海・四国沖に台風がウロウロして、首都圏NHKでは「海や山の行楽はお控えください」と云われるほどの状況下。


遠目には山頂に雲がかかっている以外、特に天気が悪いようには見えません。
やがて道は「あかっぱげ」と呼ばれる一帯に入ります。

かつては富士山の須走りのような砂礫の斜面だったそうですが、浸食が激しく、土留めと木道で整備された道になっています。
「あかっぱげ」を過ぎると岩が現れてきます。

所々石段が刻まれていたりと、整備されていて充分に歩きやすい道です。

王滝口は古い登山道で、石碑や神像が随所に見られます。
ここが避難小屋の「八合目石室」。

中に入って見ましたが、壁の一面にベンチシートがあるだけの至って簡素な小屋です。

なにやらちょっと異臭がしたのですが、誰かが妙な使い方をしたのでしょうか。

ということで、どうもここで一泊するのは遠慮したいと感じました。
樹脂管で水をひいてある「一口水」という場所。

ここまで来ると、風も強くなり、そろそろ長袖が欲しくなってきました。

例年はこの近くに雪渓があるそうですが、今年は暖かかったらしく、まったく雪がみられませんでした。
一口水から一気に岩場を登りつめると、十合目の「王滝頂上」に到達しました。

ここは「御嶽神社頂上奥社本宮」と銘記されています。

立派な神社と社務所があります。

この王滝頂上で美味しいうどんが食べられると聞いていましたが、この時はすっかり忘れていました。
王滝頂上と剣ヶ峰を結ぶ、鞍部のような「八丁だるみ」。

この辺はもっとも荒涼とした景色で、左も右も死の世界のようです。

かすかに硫黄の匂いも感じました。

この先、「旭館」「頂上山荘」の山小屋が3000m超の斜面にへばりついているのが見えてくると、剣ヶ峰は間近です。
最高峰の剣ヶ峰には、社務所と社が置かれています。

このわずか手前には「聖地に付きペットは入れないで下さい」という案内がありました。

台風の影響か、大気に湿気が多く、視界は一面の霧でした。
山頂から、一瞬だけ霧が晴れて、水のない一の池と、あざやかなブルーの二の池が見えました。

湖畔にあるのは二の池小屋でしょう。



この日は剣ヶ峰に登頂後、直近の山小屋「旭館」に一泊。

翌日、三の池を目指したのですが、霧と風のために二の池付近でリーダーの判断により撤退。

時間に余裕があったので、王滝頂上から奥の院を周遊して下山しました。

まだまだ、残り三つの池や三つの峰を見ることができず、御嶽山の山頂の広大さを知りました。